大阪・関西万博は中止せよ!(談話)

2023年8月24日

大阪・関西万博は中止せよ!(談話)

カジノに反対する大阪連絡会 事務局長 荒田 功

1 「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマの大阪・関西万博は、2025年4月の開催まで、あと1年8カ月と迫るなか、万博のメインである50カ国余りの国々が独自に建設するパビリオンが大幅に遅れ、工事着工前に必要な大阪市への「基本計画書」の提出が韓国とチェコの2か国のみという状態で、建設業界から「間に合うかわからない」と指摘されるなど開催が危ぶまれる事態に陥っています。

 こうした中、政府や万博協会は「パビリオンのデザインを簡素化」「建設会社への発注の代行」「代金を補填する万博貿易保険の適応」などと躍起になっていますが、万博そのものの魅力を低下させています。

 また、万博協会が「2024年からの建設労働者の残業規制の除外」を要請し、万博の基本理念を踏みにじる動きには、東京オリンピックの工事でゼネコン関係者が過労死する悲劇があったなか、大阪労連や大阪府職労をはじめとする労働組合や法律家団体からの強い抗議とともに、日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)からも批判の声があがっています。

2 海外パビリオンの建設の遅れは、万博会場が夢洲だということと無関係ではありません。夢洲はゴミの最終処分場であり、大阪湾の機能維持のための浚渫土砂や建設残土で埋め立てた人工島です。そのためカジノ用地には地盤・土壌改良のため788億円もの公金投入が計画され、地盤沈下対策に80メートルの杭を打つなど特別の対策を必要としています。万博会場でも同様に地盤沈下に備え、数十メートルの杭打ちを海外パビリオン建設に求めています。

 当初の万博計画では夢洲が万博会場の候補地ではありませんでした。それをトップダウンで夢洲に決定したのが松井知事(当時)でした。松井氏は自らの著書のなかで、2015年末の安倍晋三首相らとの忘年会の席で「総理にお酒を注ぎながら、一生懸命、持論を展開した」ことで夢洲万博が動き出したと述べています。

 夢洲であることによる問題は、地震、津波など災害への脆弱性、PCBなどの土壌汚染、地盤沈下などに加え、トンネル・橋の2つしかないアクセスの悪さなど、数えればキリがありません。無理な計画を強引に進めれば、ムダで巨額の公金(税金)が使われることになります。

3 読売新聞による7月実施の全国世論調査で、万博に「関心がない」が「関心がある」の倍の65%という結果となっています。会場建設費は当初の1250億円から、1.5倍の1850億円に引き上げられ、さらに上振れすることが明確です。増大する建設費は、国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつの負担であり、多額の税金が投入されます。開催経費が当初の3倍近くも膨らんだ2021年東京五輪の二の舞にしてはなりません。

 カジノ誘致の露払いの夢洲万博の開催には魅力がありません。万博本来の目的が達成できない夢洲での万博開催は中止を決断すべきです。