資料 IR・カジノ問題の質問と国の回答(9月6日)

大阪IR誘致の認定公示・審査結果報告書の記載内容及び夢洲の土壌問題についての質問と国からの回答について

 <今回の質問と回答>

質問1 要求基準の審査経過と結果についての報告はいつ、どのように行われるのですか。

【国交省観光庁回答】 1.は現場にて回答させていただきます。

質問2 大阪府・大阪市と大阪IR株式会社は「基本協定」に定められた解除期限を9月末日まで延長すると発表しました。「今後のプロセス」で明記されている①実施協定の締結、②その認可、③カジノ免許申請・付与など、想定されるスケジュールをお示しください。

【国交省観光庁回答】 現時点において大阪府・大阪IR 株式会社より実施協定の認可申請を受けていないため、①・②については時期を明示することはできない。

質問3 認定公示に付された7つの条件は、今後予定される実施協定の締結・認可、カジノ免許の申請・付与などにおいてクリアすべき条件ですか。

【国交省観光庁回答】 7つの条件は法律に基づくものであり、今後の事業実施にあたり適切に順守されるべきものと考えている。大阪府・大阪IR 株式会社による取組状況を注視し、フォローアップしていく。ご質問の実施協定の認可・締結については、IR 整備法第13 条に基づいて行われることになる。

質問4 認定公示の7つの条件及び審査委員会報告書の内容の理解について

(1)条件1では、建築物のデザインについて「審査委員会の意見が適切に反映されたものとなるよう今後の詳細設計・建設において十分留意すること」とされています。改善されたか否かについて、いつ、どのように検証するのですか。

また、審査委員会報告「14カジノ施設のデザイン等」で「天井から差し込む光は、自然光は想定されていない」ことが指摘されています。改善される見通しについてお答えください。

【国交省観光庁回答】(1)及び(7)について

ご質問の点について、IR 整備法に基づく実施状況評価等において確認していく予定である。

(2)条件2で「効果の推計」に用いる各種データの精緻化に取り組むよう求めています。審査委員会報告の「経済的社会的効果、17・18・19」で精緻化すべき課題が多数記載され、どれも厳しい指摘です。一方、「国内旅行者、訪日外国人といったセグメント別の推計」「訪日外国人旅行者数の推計方法」に対して「一定の理解を示せる」との記述が2か所存在します。旅行者数を推計するためのデータの出典を教えてください。

また、「特に外国人来訪客の増加」を求めていますが、中国政府のカジノを目的にした海外渡航の規制やオンラインカジノの急速な普及による影響をどのように考えていますか。

【国交省観光庁回答】(2)について

旅行者数を推計するためのデータについて、例えば、国勢調査の人口統計や日本政府観光局の訪日外客統計が使用されている。

ご質問の点による来訪者数への影響について、注視していく必要があると考えている。

(3)条件3の「特定の国籍等客層に偏ることなく」の「特定の国籍等客層」とはどの国を指していますか。また、計画ではカジノ入場者の3分の2が日本人ですが「我が国において国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現する」との特定複合観光施設区域整備法の目的から逸脱していませんか。

【国交省観光庁回答】(3)について

「特定の国籍等客層」との記載について、特定の国を指しているものではない。

カジノ入場者の日本人割合について、審査委員会において大阪IR への訪日外国人旅行者数の規模について肯定的に評価されるとともに、一部指摘もなされ、その上で計画全体として「認定し得る計画」と評価されたところである。

(4)条件4について、IR推進局は8月17日の説明会において、地盤沈下は50年間で2㍍の沈下を予測し、建物の基礎杭は第2天満層までの80㍍を予定していると説明しました。審査委員会報告22(1)防災・減災対策②で「洪積層の地盤沈下量予測に関しては、沈下の実測データ等が限られる中で、沈下量予測の閾値に余裕があるかは不明瞭で、厚みに欠ける予測でもあるとの意見もあった」の記述がありますが、厚みに欠ける予測とは「50年間で2㍍の沈下予測」を指しているのですか。

  審査委員会報告22(1)⑤に夢舞大橋と夢咲トンネルが「災害発生時どちらも使用できなくなる想定がなされておらず」と記載されています。この指摘についての認識を教えてください。

土壌汚染について「仮に今後新たな事象が判明した場合に備え」るよう求めています。これは審査委員会報告22(2)④で「大阪市により、 土壌汚染対策法に基づき試料採取等を省略する等によりIR 区域を含めた夢洲地区の汚染状態の判定がなされている」との指摘を前提にしたものだと考えますが、PCBなどの新たな汚染が判明する可能性を含めての条件ですか。

【国交省観光庁回答】(4)について

沈下予測について、ご理解のとおりである。なお、審査委員会より、地盤沈下対策の内容について肯定的な評価がなされている。

夢舞大橋と夢咲トンネルについて、審査委員会の評価にもあるとおり、今後、想定外の事象が起きた場合の対応について検討していくことが必要と考えている。なお、審査委員会において、災害発生時にIR 区域内の広場等への避難を基本とし、避難施設の耐震性、自立電源、備蓄の確保が計画されている点について、肯定的に評価されている。

土壌汚染について、具体的な事象を示唆するものではない。

(5)条件5で「双方向の対話の場を設け」るよう求めています。また、審査委員会報告23地域との良好な関係③で「一方向の情報発信にとどまらず」との指摘を前提にした「十分な地域との双方向の対話の場を設け」るよう記載されています。「一方向の情報発信」「双方向の対話」とは具体的にどのようなものかを説明してください。

  また、審査委員会報告23②に「IR事業者においてはタウンホールミーティングの開催が一応計画されてる」とありますが、具体的にどのような計画を指しているのですか。

【国交省観光庁回答】(5)

「一方向の情報発信」、「双方向の対話」について、例えば、HP でのパンフレット等の掲載のみに終始することなく、参加者からの質問が可能な説明会を開催すること等の内容を想定している。

タウンホールミーティングについて、事業者においては、地域における大小様々な対話型集会の開催を視野に今後計画されていくものと想定している。

(6)条件6には「ギャンブル等依存が疑われる者の割合の調査を行い、その結果を踏まえ実効性のある依存防止対策を定期的に検証し」との指摘はカジノ開業前のとりくみを含んでいますか。 また、国としてギャンブル依存症の実態調査を行う計画はありますか。

【国交省観光庁回答】(6)

ギャンブル等依存が疑われる者等の割合の調査について、カジノ開業前の取組も含まれている。

内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局

質問:4(6)「また、国としてギャンブル依存症の実態調査を行う計画はありますか。」

【内閣官房回答】 ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)第23条において、「政府は、三年ごとに、ギャンブル等依存症問題の実態を明らかにするため必要な調査を行い、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。」とされております。

基本法に基づいた調査は、令和2年度に実施し、第2回調査を本年度(令和5年度)実施予定です。

なお、質問4(6)の前段につきましては、IRに関する問であることから、国土交通省から回答することとなります。

(7)条件7にある「審査委員会の意見を踏まえ」た計画の「適宜必要な見直し」について、いつ、どのように検証するのですか。

【国交省観光庁回答】(1)及び(7)

ご質問の点について、IR 整備法に基づく実施状況評価等において確認していく予定である。

質問5 本年2月20日の協議に際して、環境省は夢洲2区3区にはPCB濃度が10ppm未満の汚染土壌が埋め立てられている可能性を認めました。もし土を掘り返す工事が行われることになる場合、労働安全衛生法による問題はないのでしょうか。また、労働者への健康被害を避けるためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

【厚生労働省回答

1 労働安全衛生法においては、有害な物質を製造又は取り扱う作業を行う場合、その作業を行う事業者に対して、法令に基づく措置を適切に講じることを義務付けています。

2 PCBにおける対策については、特定化学物質障害予防規則(以下「特化則」という。)に基づき、労働者の健康障害を予防するため、PCBの取扱い作業を行う作業場について、関係者以外の立入禁止措置(特化則第24条)、作業主任者の選任(特化則第27条)、特殊健康診断の実施(特化則第39条)、呼吸用保護具(特化則第43条)、保護衣等の使用(特化則第44条第2項)などの措置を講じるよう事業者に義務付けているところです。

3 厚生労働省としては、労働安全衛生関係法令に基づき、働く方々に対する適切なばく露防止措置が講じられるよう、事業者に対する指導を行ってまいりたいと考えております。

2023年9月6日

岡田 直樹 国際博覧会担当大臣 様

大阪・関西万博の中止決定を求める要望書

カジノに反対する大阪連絡会 事務局長 荒田 功

1 「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマの大阪・関西万博は、2025年4月の開催まで、あと1年8カ月と迫るなか、万博のメインである50カ国余りの国々が独自に建設するパビリオンが大幅に遅れ、工事着工前に必要な大阪市への「基本計画書」の提出が3か国のみという状態で、建設業界から「間に合うかわからない」と指摘されるなど開催が危ぶまれる事態に陥っています。

 こうした中、政府や万博協会は「パビリオンのデザインを簡素化」「建設会社への発注の代行」「代金を補填する万博貿易保険の適応」などと躍起になっていますが、万博そのものの魅力を低下させています。

 また、万博協会が「2024年からの建設労働者の残業規制の除外」を要請し、万博の基本理念を踏みにじる動きには、東京オリンピックの工事でゼネコン関係者が過労死する悲劇があったなか、大阪労連や大阪府職労をはじめとする労働組合や法律家団体からの強い抗議とともに、日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)からも批判の声があがっています。

2 海外パビリオンの建設の遅れは、万博会場が夢洲だということと無関係ではありません。夢洲はゴミの最終処分場であり、大阪湾の機能維持のための浚渫土砂や建設残土で埋め立てた人工島です。そのため万博会場と隣接するカジノ用地には地盤・土壌改良のため788億円もの公金投入が計画され、地盤沈下対策に80メートルの杭を打つなど特別の対策を必要としています。万博会場でも同様に地盤沈下に備え、数十メートルの杭打ちを海外パビリオン建設に求めています。

 当初の万博計画では夢洲が万博会場の候補地ではありませんでした。それをトップダウンで夢洲に決定したのが松井知事(当時)でした。松井氏は自らの著書のなかで、2015年末の安倍晋三首相らとの忘年会の席で「総理にお酒を注ぎながら、一生懸命、持論を展開した」ことで夢洲万博が動き出したと述べています。

 夢洲であることによる問題は、地震、津波など災害への脆弱性、PCBなどの土壌汚染、地盤沈下などに加え、トンネル・橋の2つしかないアクセスの悪さなど、数えればキリがありません。無理な計画を強引に進めれば、ムダで巨額の公金(税金)が使われることになります。

3 読売新聞による7月実施の全国世論調査で、万博に「関心がない」が「関心がある」の倍の65%という結果となっています。会場建設費は当初の1250億円から1.5倍の1850億円に引き上げられ、さらに上振れすることは明確です。

増大する建設費は、国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつの負担であり、多額の税金が投入されます。開催経費が当初の3倍近くも膨らんだ2021年東京五輪の二の舞にしてはなりません。

 カジノ誘致の露払いの夢洲万博の開催には魅力がありません。

万博本来の目的が達成できない夢洲での万博開催は中止すべきです。

以上、要望します。